海外に行けば英語がペラペラになるか?

世の中の風潮として
「海外に行けばペラペラになれる」という
考えがあるのではないでしょうか。

「とにかく外国語の環境に入れる」
というメソッドを
サブマージョンと言います。(1)市川力(2004).英語を子供に教えるな 中央公論新社.

サブマージョンというのは
submersionと書き、
「沈める」という意味です。(2)市川力(2004).英語を子供に教えるな 中央公論新社.

しかし アメリカで1000人以上に
英語指導をしてきた市川ちから博士によると
サブマージョンは
8割が失敗するそうです。(3)市川力(2004).英語を子供に教えるな 中央公論新社.

この失敗を”sink”、
つまり「沈んだ」と言うそうです。

また 健全な心身を保ちつつ
英語学習に成功するような帰国子女は
両親や学校、塾が手助けしながら
本人も苦労して英語を勉強しているそうです。(4)市川力(2004).英語を子供に教えるな 中央公論新社.

それから 僕に語学を教えてくれた
多言語話者の方は
「現地に行くだけでは
話せるようにならない」と言います。

その根拠として
アメリカ移民を例に挙げています。

アメリカに移民して
何十年という中国人でも
英語を話せない人は
たくさんいるそうです。

しかし 以上に対する
反例もあります。

例えば モンゴル人力士は
特に勉強しなくとも
日本語がペラペラになるという
話を聞いたことがあります。

そして これは
サブマージョンの成果だと
言われています。

しかし これに対して
僕は反論があります。

僕は力士の外国語学習については
詳しくありませんので
以下の話は話半分に聞いてください。

まず モンゴル語というのは
非常に日本語に似ています。

語順が同じであり
日本語と同じように
「てにをは」のような
助詞があります。

これはある英会話学校の
オーナーの話ですが
似ている言語というのは
3ヶ月で話せるそうです。

逆に似ていない言語は
年単位でかかります。

ですので 日本人が韓国語を学んだり
韓国人が日本語を学ぶと
3ヶ月程度で話せるそうです。

逆に日本人や韓国人が
ヨーロッパの言語を覚えるには
年単位かかるそうです。

一方 ヨーロッパ人はやはり
英語を数ヶ月で話せるそうです。

つまり言語が近いがために
モンゴル人はサブマージョンであっても
日本語がペラペラに
なるのではないでしょうか。

しかし 日本語と離れた母語を持つ外国人が
日本語を勉強しないで
ペラペラになった例を
聞いたことがあります。

それはブラジル移民です。

ブラジル移民の中には
テレビを見るだけで
日本語が話せるようになった
という話を聞いたことがあります。(5)お問い合わせの電話で伺いました。

以上に対しては
僕なりに推測があります。

まず 多言語話者の
ティモシー・フェリスが言っていますが、
基本的に知っている発音の多い外国語は
学習が簡単です。

ブラジル人は母語がポルトガル語ですが
日本語で知らない音はほとんどありません。

ですので 最初から
ほとんどの音を
聞き取れるし話せるわけです。

一方 日本人から見た英語は
知らない発音だらけです。

その上 日本語にはない
イントネーションやリンキング、
リダクションなどがあります。

ですので 日本人が
いきなり英語を聞き取れて発音できる
ということはありません。

以上 以外にも
ブラジル人が日本語を勉強しないで
ペラペラになる理由について
僕なりに仮説があります。

多言語話者のピーター・フランクルが
言っていたそうですが
日本語は書き言葉が難しく
話し言葉が簡単だそうです。

つまり外国人からしたら
日本語の話し言葉は
習得が容易だということです。

逆に日本語は書き言葉が難しいので
モンゴル人の朝青龍も
未だに自然な日本語が書けません。

英語は逆で 話し言葉が難しく
書き言葉が易しいそうです。

英語は日本語の3倍も
舌や口の筋肉を速く動かします。

それに追加して
単語が全て連なり
また イントネーションがあります。

「単語の前後の1文字をつなげつつ
波のようなイントネーションをつけて
3倍速で日本語を話してください」と言われたら
不可能だと思います。

逆にそういった日本語を
聞き取ることも難しいと思います。

以上ができるようになるには
かなりの訓練が要ります。

なので日本人が
サブマージョンだけで
英語がペラペラになるのは
難しいかもしれません。

以上をまとめますと
以下によって外国語の
話し言葉を覚えられるスピードが
違うと思います。

・外国語と母語の類似性
・外国語の話し言葉の難易度

日本人が英語を覚える場合は、
言語として離れている上に
英語の話し言葉は難しいので
覚悟して取り組んだ方が良いでしょう。

脚注、引用・参照文献   [ + ]

1, 2, 3, 4.市川力(2004).英語を子供に教えるな 中央公論新社.
5.お問い合わせの電話で伺いました。

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